夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

(4)


誰もが予想出来なかった展開。
広間は、今この場に大人数がいるとは思えない程にシンッと静まり返っていた。


「……貴様。何が目的だ。
ここにある、金目の物か?」

警備長が真っ直ぐ彼を見据えて尋ねた。


まずい。
普段からニコッともしない無愛想な警備長だが、今はいつもに増して怖い形相。
ドスの効いた、声。
誰から見ても、一目で”危険”だと分かる程に……。

ーーだが。
警備長の鋭い剣幕とは反対に、彼は余裕たっぷりといった表情で返事を返す。


「そんな物、いりません。
ただ、この中で1番の権限を持つ方に会いたい」

彼はそう言うと辺りを見渡し、一人一人の顔をまるで品定めするように見ていく。


「……。うん。貴女、ですね?」

そんな彼が微笑みながら、納得したように頷いて視線を止めたのは……。
金髪に青い瞳、黒と白を基調とした使用人の制服を着た女性。使用人を、この別荘の全てをまとめる使用人長のローザ。
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