夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……本当に、似合うね」
「そう?
アカリがそう思ってくれるなら、良かった」
一緒に砂浜を歩いているだけで、ドキドキする。
手も繋いでないのに……。
太陽の光で透けてキラキラと輝くバロンの白金色の髪が、普段室内で見る時よりも一層美しい。
その神秘的な姿に魅せられて、思わず口が開く。
「……ね、聞いてもいい?
バロンの髪の毛の色って、生まれつき?」
会った時から思ってた不思議な色。
金色でも、白色でもない。
瞳も、透き通った白金色。
「うん、生まれつき。
おかしいでしょ?両親とも黒髪なのにね。
突然変異、って言うのかな」
私の質問に、彼が天を仰ぐようにして答えた。
両親とも黒髪なんだ。
ご両親が違う国のハーフなんだと思っていた。
もしくは、私がまだ知らない世界の何処かに住む人達が持つ特別な色。
けど、彼の言った言葉に、私は思った。
『この美しさは、彼そのものの美しさなのだ』、と……。