夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……大丈夫。
アカリは絶対に幸せになれるから。
そのままのアカリでずっといて?」

大丈夫。
幸せになれる……。

バロンの言葉が、私の中で勇気に変わる。

嘘でもいい。
錯覚でもいい。
貴方の言葉は、いつだって私を強くしてくれる。


「……バロン、見ててね?
私は明日、最高に輝くから」

私は涙を拭いて。
バロンを見上げて、微笑む。


「みんなに貰った全てを出して、最高の花嫁になってみせるから。
約束するから……。最後まで、見てて?」

無駄にしない。
バロンと過ごした時間。

貴方に貰った、全てに誓う。


「……。
それでこそ、私の”お嬢様”です」

バロンは微笑んで、私の前に跪くとスッと頭を下げた。


「お供致します。
最後まで、共に参ります」

彼が私の右手を取って、手の甲に軽く唇を寄せる。
初めて、私に誓ってくれた約束の時と同じように……。


『貴女様の17歳を、必ず幸せにすると約束します』

ーーうん、幸せだった。
一生に一度の恋を、する事が出来たから。
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