夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「私が、お嬢様に出来るのはここまでです。
真の美しさは、貴女様自身の輝き。
……どうか、自信を持って歩んで下さい」

「……。はい」

私は頷くと、椅子から立ち上がりバロンの方を向いて真っ直ぐと見つめた。


「約束、守るよ。
私もバロンに、格好良い姿見せたい」

いつだって約束を守ってくれたバロン。
大好きな貴方に、誇れる自分で在りたい。

微笑むと、頭を上げたバロンと瞳が重なる。


「……」

何も言わずに、彼も微笑んでくれる。

「頑張れ、アカリ」って……。
言葉に出来ない想いを、伝えてくれてた。


ーーコンコンッ!


「失礼致します」

ガチャッと扉が開いて、一礼したローザが部屋に入ってくる。

私が身体を向けると、彼女は口に手を当てて驚いて……。
でも、すぐに微笑んでくれた。


「!……まあ。
アカリ様、とってもお綺麗ですわ」

「ふふっ、ありがとう」

ローザ。
最初は怖かったけど、本当はすごく優しくて、とても頼れるお姉さんだった。
こんな風に、一緒に微笑み合えるようになれた。

別れるのは、やっぱり寂しい。
< 325 / 475 >

この作品をシェア

pagetop