夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「いえ、彼らしいです。
最後まで、本当に格好良かった」

私達に、これ以上言葉なんていらないよね?

そう心の中で問い掛けながら、バロンとの今までの想い出。
そして、昨日の浜辺での事を思い出した。


『最後まで、見てて?』

『最後まで、共に参ります』

ーー約束したもの。
傍にいられなくても、バロンは必ず見ていてくれる。


「……最後くらい。
私もバロンがドキッとするような、素敵な女性で在りたい」

「……充分、ですよ。アカリ様」

私とローザは顔を見合わせて、微笑った。

この別荘に来た当初の……。
自ら命を絶とうとした弱い私は、もういない。
ちゃんと、立ち向かう。

その先に幸せはあると信じて。
私は自らの運命を、開いてみせる。
< 327 / 475 >

この作品をシェア

pagetop