夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
覚悟してきた筈だった。
試験の日にどんな事が行われるのか、事前にローザに聞かされていた。
この日の為に、毎日勉強してきた。
……でも、やっぱり怖い。
アルバート様、先生方……。
ローザを始めたくさんの使用人達が、私を見ている。
緊張して、喉がカラカラだ。
途中休憩がないからと、水をすすめてくれた使用人の好意を断った事を後悔する。
テストの詳細の内容が書かれた紙を渡されるが、その紙を持つ手が今にも震え出しそう。
先生方の説明の声を聴くだけで、精一杯だ。
っ……どうしよう。
極度の緊張から周りの視線が怖くて、私は逃げるように目を伏せてしまった。
その時。
「失礼致します。
皆様、申し訳ありません。私の不手際が御座いました。
少々お時間を下さいませ」
ーーえっ?
その声に顔を上げると、側に来ていたローザが銀盆に乗った水の入ったグラスを、私に差し出す。