夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「ありがとう!」

声を弾ませてお礼を言うと、私はグラスを受け取り喉を潤した。

空になったグラスを銀盆に戻す際に、もう一度バロンが書いてくれた絵と文字を見る。

『大丈夫!
アカリなら、大丈夫!』

何度も聞いた彼の声が、私の心の中に木霊する。


ーーうんっ。
ありがとう、もう大丈夫。

周りなんて気にしない。
私は、自分の力を出し切るだけ。
誰よりも素晴らしい見本の貴方を、ずっと傍で見て学んできた。


毅然と、微笑ってみせよう。
目の前の与えられた事を、熟すだけ。

”見られてる”んじゃない。
”見せてやる”の!

これは、辛い勉強の時間じゃない。
バロンと過ごした楽しい時間の全てだから。


「お待たせしました!
どうぞ、よろしくお願いします!」

アルバート様と先生達の前に立って深く頭を下げると、最終試験が始まった。


テスト中。
アルバート様や先生方は、私の成果に余計な事は何一つ言わなかった。

熱中し過ぎて、あっという間に全てのテストが終わっていた。

……
…………。
< 332 / 475 >

この作品をシェア

pagetop