夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「依頼主の前で失礼な態度は止めて下さい!ヴァロン!」
ヴァロン。
シュウさんが呼んだその名前に。
突然目の前に現れた伝説の夢の配達人の姿に。
この場に居る人達は、動揺を隠せず騒ぎ出す。
どよめきが起きる現場で、私には幼い頃に見たあの日の姿がよみがえってきていた。
間違いない、ヴァロンだ。
夢の配達人の、ヴァロンだ。
驚きと感動で胸が震える。
バロンがヴァロンである事は、私の中ではすんなりと受け入れられていた。
何度か彼をヴァロンだと感じた事があったし、一度は自分の強い想いが彼をヴァロンだと思わせているのかと思ったが……。
今は、”やっぱり”という思いが強い。
それよりも何よりも、また会えた歓喜が溢れ出していた。
けれど、使用人達はなかなか受け入れられず混乱している。
バロンがヴァロンだという変化に。
容姿はそのままなのに、まるで二重人格のように表情も態度も雰囲気も違う。