夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

その光景を見た時、ハッとする。

シュウさんの存在を再認識した時。
ヴァロンとの再会を純粋に喜んでいた私の頭に、ある疑問が浮かんだ。


シュウさんは、さっきヴァロンを迎えに来たと言った。

依頼主は、アルバート様。

ヴァロンは、雇われた夢の配達人。

ここに居るのは、仕事。

契約期間が終了。と、言う事は……。


「ははっ、いいではないですか!
報告ではヴァロン殿は期待以上の働きをしてくれた。
我が孫娘の監視、警護、教育。全て素晴らしかったと聞きましたぞ!
……そうなんだろう?ローザ!」

「は、はいっ……」

アルバート様にそう言われたローザは気まずそうに俯いて、私と目を合わせない。


アルバート様の言葉と、バロンの正体を知っていたかのようなローザの様子に……。

自分の心が、一気に冷えて行くのを感じた。


私が、彼と……。
”バロン”と出会った事は、全て仕組まれた事だと……。私は、知ってしまった。
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