夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
彼はアルバート様に一礼すると、静かにシュウさんの側へ戻って行った。
「……成長しましたね、ヴァロン。
いや~、私は嬉しいですよ」
「うっせぇ。
やっぱりお前が持って来る仕事はもう嫌だ。
次の契約者は俺が決める。……いいな?」
しみじみとした口調と笑顔で迎えられたヴァロンは、再び不機嫌な表情を浮かべるとそう強く念押す。
それに対して、シュウさんは仕方ありませんね、と言う感じで「はいはい」と、ため息混じりで笑っていた。
そんな二人を見て、思わず頬が緩む。
私は、嬉しかった。
『何で孫娘が本当に幸せになる為に、その力と金を使ってやらねぇんだよ』
ーーもう、充分だ。
あの言葉で、分かった。
私達が一緒にいたあの時間は、嘘じゃない。
貴方の優しさは、偽りじゃない。
アルバート様とお父さんの仲を解決するだけではなく、私の心まで軽くしてくれた。
ありがとう、”バロン”。
私は、心の中でお礼を言った。