夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……言えよ。
お前は俺に何をくれる?」
「っ……。
っ〜〜……た、し……げる、……っ」
ヴァロンが私に、言わせたい事は分かる。
分かるけど、恥ずかしくて恥ずかしくて……。
真っ赤な顔で、私はボソッと呟いた。
「……聞こえない」
本っ当に意地悪なヴァロン。
恋愛初心者の私に、全然優しくない。
眉間にシワを寄せて、「ん?」って感じに睨んでくる。
しかし。
絶対に退いてくれない強敵に、私は腹をくくって叫んだ。
「っ~~~!私よ、私ッ……!!
私を貴方にあげるわ!ヴァロンッ!!」
「好き」って言うよりも恥ずかしい告白。
穴があったら入りたい位だった。
でも……。
「その言葉、忘れんなよ?」
意地悪な後の、甘い時間。
身体がフワッと浮かぶのと同時に聞こえた、優しい声。
私を抱き上げて、最高の笑顔で微笑むヴァロンを見たら……。
私も幸せの笑顔に、変わっていた。