夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……て、訳だ。おい!シュウ!!」
ヴァロンの瞳が私から外れて、シュウさんを呼んだ。
そして、私はハッと二人の世界から我に返る。
すっかり、今の状況を忘れていた。
ここは、アルバート様の別荘の大広間。
今日は花嫁修行の最終試験日。
チラッと移す視線の先には、私達を見つめるたくさんの人達。
……みんなに、見られてた。
っ〜〜〜!きゃあぁぁ~~~~ッ!!!!
私は声にならない悲鳴をあげて、真っ赤になった顔を隠すようにヴァロンに抱き付いた。
「俺はこいつ連れて逃げるから。あとはよろしく頼むわ〜」
「はいはい。
マスターへの報告は自分でお願いしますね?」
私の事などお構いなしに、あっけらかんと普通に会話している二人。
シュウさんの言葉にヴァロンは軽く舌打ちをすると、私をお姫様抱っこしたまま歩き出す。