夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
ああ〜っ、もう早くこの場から去りたい。
ーーしかし。
数歩歩いてヴァロンは立ち止まると、顔だけある方向に向けた。
どうしたのだろう?と、その先を見つめると……。
そこに居たのは、黙って私達を見ているアルバート様。
「あんたの孫娘は、俺が幸せにする。
俺は見付けたぜ?金より、大事なモン」
「……ヴァロン」
アルバート様の表情が気になりながらも、ヴァロンの言葉に胸がキュッとなって、愛おしい気持ちが溢れてくる。
もうこの幸せを放したくなくて、私は彼だけを見つめる事にした。
「……じゃあな」
ヴァロンはアルバート様にそう言うと、大広間の扉に向かって再び歩き出す。
その行く手を阻むのはーー。
ローザと、警備達。
この別荘から逃亡しようとする私達を逃すまいと、守りを固めて扉までの道を塞ぐ。