夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……。
俺を止めますか?ローザ殿?」
「当然です。私の主はアルバート様。
その孫娘を奪う貴方は、我々の敵です」
見つめ合う、ヴァロンとローザ。
でも、その表情は……。
真剣な会話とは正反対に、和かだった。
「行くなら、我々を倒してから行って下さい!」
「勝負です!バロンさん!」
『バロンさん!』
警備のみんなのヴァロンを見る目も、名前を呼ぶ声も、とても和やかで輝いていて……。
ここで過ごして来た期間。
みんなが彼をどれだけ慕って大好きだったのか、伝わってきた。
そしてヴァロンは、そんなみんなを真っ直ぐに受け止める。
「……いいぜ。俺は両手が使えない。
丁度いいハンデだな?」
彼はニッと微笑むと、避ける事なく警備達の間を突っ込んで行った。
次々とヴァロンを止めようと、向かってくる警備達。
彼は私を抱いたまま、その警備達の間をすり抜けて行く。
”バロン”の時よりも、更に見事な身のこなしで……。
ーーあっという間に、警備達を全員突破して……。
ヴァロンは扉に辿り着くと振り返った。