夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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「っ……もう!
なんであんな無茶したんですかっ?!」
「いいじゃない?勝ったんだし!」
事が落ち着いてーー。
心配して部屋へ呼んだ私の気持ちをよそに、彼は上機嫌といった表情で返事を返してくと、可愛い笑顔で私を「うっ」と黙らせる。
警備長と彼の対決。
勝負は一瞬だった。
警備長が警棒を手に彼に攻め込むと……。それをスッと交わした彼が警備長の背後に回り、いつの間にか奪っていた警棒を首元にピタッと突き付けて、涼し気な表情で微笑んでいたのだ。
彼の鮮やかな立ち振る舞いに、その場にいた者全てが魅了された。
ローザも彼を満足そうに見つめて、早速明日から私の召使いとして勤めるよう命じた。
望んでいた結果。
”彼と離れたくない”と思っていた私の想いが実ったのだから、これは願ってもいない事だった。
……でも。