夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

***

「っ……もう!
なんであんな無茶したんですかっ?!」

「いいじゃない?勝ったんだし!」

事が落ち着いてーー。
心配して部屋へ呼んだ私の気持ちをよそに、彼は上機嫌といった表情で返事を返してくと、可愛い笑顔で私を「うっ」と黙らせる。


警備長と彼の対決。

勝負は一瞬だった。
警備長が警棒を手に彼に攻め込むと……。それをスッと交わした彼が警備長の背後に回り、いつの間にか奪っていた警棒を首元にピタッと突き付けて、涼し気な表情で微笑んでいたのだ。

彼の鮮やかな立ち振る舞いに、その場にいた者全てが魅了された。

ローザも彼を満足そうに見つめて、早速明日から私の召使いとして勤めるよう命じた。


望んでいた結果。
”彼と離れたくない”と思っていた私の想いが実ったのだから、これは願ってもいない事だった。

……でも。
< 36 / 475 >

この作品をシェア

pagetop