夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……何?
俺が良い男過ぎて、見惚れた?」

じっと見つめる私に、ヴァロンは意地悪そうに微笑む。

その笑顔がなんだかすごく悔しいけど……。
当たってる。

海風になびく白金色の髪。
長い前髪をさり気なく首を振って払う仕草も、絵になる。


「……う、うん」

見れば見る程格好良すぎて、私はぽ〜っと頰を染めながら素直に頷く事しか出来ない。

未だにこんな素敵な人の傍に居るのが、信じられないと言うか……。
なんと言うか……。


「……嬉しい事、言ってくれんじゃん」

「えっ?」

〜〜っ!顔が、近い……ッ。

ハッとした時には遅くて、ヴァロンはあっという間に私の唇を奪う。

ビクッと揺れる私の身体を彼は力強い腕で抱き締めると、すぐに唇を離して間近で見つめた。


「あんま可愛い事言うと、この場で食うぞ?アカリ」

「ッな!……っ〜〜〜!」

く、食うっ?!
食うってッ……これ以上何する気よっ?!
しかも、いきなり名前呼ぶとか反則ッ……!!

すっかりまたヴァロンのペースにもっていかれてしまう。
< 362 / 475 >

この作品をシェア

pagetop