夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
そうなのだ。
いつまでも一緒にはいられない。
このままでは、いられない。
私は18歳になったら、アルバート様の決めた婚約者と結婚しなくてはならない。
それは避けられない、私の運命。
逃げられない、現実だ。
だったら……。
「ーーたくさん我が儘、聞いてくれる?」
だったらせめて、最後の自由な時間は楽しく過ごしたい。
彼との出逢いは、きっと神様が私にくれた最後の我が儘の時間だと思った。
「私が18歳になるまで、ずっと傍に居てくれる?」
独りぼっちで居たくない。
そう願った私に、きっと彼は神様が使わせてくれた使者。
美しい神の使いなのだと思った。
泣きそうになりながら訴える私に彼は微笑んで、「勿論です。お嬢様」と、正面で跪くとスッと頭を下げた。
先程までとは違う口調、雰囲気にドキッと高鳴る鼓動。