夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……とは言え。
確かにこんだけあると、悩むよな」
その傍らで、ヴァロンは店内を見渡して「ん~」と、悩み声をあげている。
私が決められない理由を、彼は絶対に勘違いをしているだろう。
『一生守ってやる』……とか。
確かにプロポーズみたいな、それらしい事はたくさん言われた。
言われた、けど……。
ほ、本当に?
ヴァロンは本当に、私をお嫁さんにしてくれるの?
そんな気持ちで、私はチラッと彼を見た。
しかしーー。
「!……あ、なんならさ。
この店ごと買い占めるか?」
「!……はっ?はいぃッ?!」
「ほら、そしたら全部着れんじゃん!」
な、何を言ってるのこの人ッ……?!
私の心の問い掛けはまるで無視。
”問題児”と言われているのが分かった気がした。
「む、無理無理無理無理!
一着いくらすると思ってるのよっ?!」
ヴァロンと一緒に一着の値段を確認して、私は青ざめる。
けれど、それとは対照的にヴァロンは笑顔。