夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「大丈夫、買える買える!
一生に一度の事だから派手にやろうぜ!」

「!……ちょッ!
ちょっと待って!ヴァロン!待って~ッ!!」

買える、とか。
派手にやる、とか。

ーーそういう問題ではない!!

今にも店員さんに交渉しに行こうとするヴァロンを、私は必死で止めた。


そんなこんな……。
なんか変なスイッチが入った彼を何とか説得して、「オーダーメイドでドレスを作ってもらう」という提案でこの件はどうにか収まった。

でも……。
その後の日用品の買い物でも、ヴァロンの暴走は続く。


「お、アカリ。これいいじゃん!買おう!」

「!……ダメ~ッ!
こっちなら同じ値段で三個買えるの!」

欲しい物や目に付いた物を値段を全く気にせず買おうとするヴァロンと、ついつい一般庶民だった時の癖で少しでも安く買おうとする私。

価値観が違い過ぎて……。
せっかくの買い物なのに、私は怒鳴ってばかりだった。
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