夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

***

「な、アカリ。お腹空かねぇ?」

買い物がひと段落ついた夕方。
なんとか終わった買い物に、「ふ~っ」と息をついた私の顔を覗き込みながらヴァロンが尋ねてくる。


「え?あ、そう……だね。
喉渇いたし、確かに少し休憩したいかな」

お腹が空いたと言うよりは、船旅から休まずいっぱい歩いて少し疲れていた私は素直に答えた。

食事とまでいかなくても、そこら辺の花壇にでも座って一休み出来たら……。
と、思っていた私だったが、その考えは甘かった。
”自分の提案に賛同してくれた”とばかりに、彼は表情を輝かせる。


「じゃあさ、今日は食べて帰ろう?美味い店があるんだ!」

「!……えっ?」

ヴァロンの言葉と様子に”まさか!”と悪い予感がした時には、時すでに遅し。
彼は嬉しそうな笑顔で私の手を取ると、弾むような早足でお店に向かって歩き出した。

……
…………。
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