夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
やるせない気持ちで、思わず視線が気持ちと一緒に落ちて行く。
けれど、その直後。
私の心を察するように包んでくれる、フワッと頭に感じる優しい感触。
ヴァロンの大きな掌が、私の頭をポンポンと撫でた。
「……悪い。
せっかくの初デートなのに、俺全然お前を楽しませてやれてねぇな」
「!……え?」
「ほんと、仕事以外なんも出来ねぇんだよな……。つまらない男で、ごめんな?」
顔を上げた私の瞳に映るのは、苦笑いするヴァロン。
その表情と、不器用に紡がれる言葉から感じる。
彼も、戸惑ってるんだって……。
「……でも。俺は、お前に傍にいてほしい。
少しずつ、頑張るから。ゆっくり俺を、見てくれねぇかな?」
私と一緒なんだ。
自分といて楽しいのかな?って……。
ずっと、不安に思っていたに違いない。
初デートだから、きっと私を喜ばせようとしてくれてたんだ。
ヴァロンなりに必死に盛り上げてくれて、自分の好きな物を食べさせてくれようとしてくれてた。
なのに、私は……。
自分の気持ちも言わずに、ただ否定するだけだった。