夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

(2)


帰り道ーー。

「今日みたいに高いお店で外食する事は、たまににしよう」って、二人で決めた。
初めはその提案に「なんで?」と首を傾げていたヴァロンも、私のこれまでの生活の事をちゃんと話したら分かってくれた。

それから、「明日からは私が毎日お家でご飯作る」って言ったら、ヴァロンは子供みたいに喜んでくれて……。
新しく見えてくる彼の一面が増える度に、私も嬉しくて堪らなくなる。

些細な会話でさえ、楽しく感じる帰路。


だが、一難去ってまた一難。
私を再び驚きと緊張が襲ってくるのだった。


「……ね、ヴァロン?
そういえば私達、今から何処行くの?」

先程からヴァロンと手を繋いで歩いてる道。
私には見覚えがあった。


「ここって、前来た時に宿泊先があった場所だよね?またここに泊まるの?」

そして、やはり着いたのは以前港街を訪れた時に宿泊先だった高い綺麗な建物。
改めてじっと見上げると、本当に立派なリゾートホテルで惚れ惚れしてしまう。

そんな私に、ヴァロンがサラリと衝撃の事実を告げる。


「あ、うん。
泊まるって言うか……帰る?
だってこれ、俺の家だし」

「えッ?!」

私からしたら信じられない現実。
驚きで「本当に?!」と聞き返す事も出来ない私の手を引いて、ヴァロンは建物の中へ入って行った。
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