夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
ここが自宅。
どう見ても、よく本とかで紹介される豪華な宿泊先だ。
一般庶民だった私からしたら、到底普通に住める家ではない。
「……。
や、家賃……毎月いくら?」
呆然としながら、思わず聞いてしまった。
するとヴァロンは考え込んで首を傾げる。
「家賃?毎月?
住む時に一括で払うもんじゃねぇの?」
「!っ……も、持ち家?!持ち家なのッ?!」
「なんだそれ?」と言いたげに首を傾げる彼の姿に、質問をした私の方がおかしいのかと思ってしまう。
またもや次元の違う世界。
驚く私に、ヴァロンは思い出すように話し続ける。
「白金バッジになった時かな。
いい加減自分で住む場所見付けろって、シュウに言われて買ったんだよな。確か」
ヴァロンが白金バッジになった時ーー。
それは、確か16歳。
16歳で自分で家買って一人暮らし。
夢の配達人にとっては当たり前なのかも知れないが、私には開いた口が塞がらない。
「いくらだったっけかな~?今度シュウに聞いとくわ」
「い、いいっ!聞かなくていいッ……!!」
気になるけどこれ以上は聞くのが怖い私は、首を横に振って断った。