夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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なんとか家の話は抑え込みーー。
私達三人はソファーに座って落ち着いた。
シュウさんは、こんな時間に何をしに来たんだろう?
私がそう思っていると、正面に座っているシュウさんがテーブルの上に中身の見えないカゴを置いた。
「夜分にすみません。
ヴァロンに頼まれたものを、早急にアカリさんにお渡ししようと思いまして」
そう言いながらシュウさんがカゴから取り出したのは、ふわふわの毛並みの白い猫。
別荘で一緒に暮らしていた私のお友達。
「!っ……リディア?」
名前を呼ぶと、眠そうにしていたリディアは耳をピンッと立てて「みゃ~っ」と元気に鳴いた。
シュウさんが抱いている手を緩めると、ピョンッと私の腕に飛び込んで来る。
「やっぱり。
飼い主さんの元が一番みたいですね」
私の膝の上でゴロゴロ喉を鳴らすリディアを見てシュウさんは頷きながら微笑むと、今度は鞄を漁り始める。