夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「あと、これ……。
アカリさんの部屋にあった私物です。
大切な物、全部あるか確認して下さい」
シュウさんは鞄から出した物を、テーブルに次々と並べて私に見せてくれる。
お母さんの形見の宝石箱。
猫バロンの鈴。
枯れちゃうから押し花にした、ヴァロンに貰ったバラの花。
そこには、私の大切な物が全部あった。
「っ……ありがとう、ございます」
もう取りに戻れないと思っていた、私の宝物。
気になってたけど……。
悲しいけど、仕方ないって、諦めてたのに……。
「ーー私は、ヴァロンの頼みを聞いただけです。お礼は、彼に言ってあげて下さい」
瞳を潤ませて感謝の眼差しを送る私に、シュウさんが微笑みながらヴァロンにチラッと視線を向ける。
!……ヴァロン、が?
私をあの場から助け出してくれただけではなく、後の事まで考えてくれていたの?
シュウさんの言葉に、私も隣に座っている彼を見た。
ヴァロンは照れて、口元に手を当てながら顔をそっぽ向けちゃって、私を見てくれない。
けど、彼の優しさに嬉しくて笑顔がこぼれる。