夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「っ……ありがとう!ヴァロン」

大好きの気持ちが溢れて、私は思わずヴァロンに抱き付いた。

不器用で、口が悪くて、価値観も違いすぎて……。
まだまだ知らないヴァロンに戸惑う事も多いけど、優しいところは、ちっとも変わらない。

目を閉じて抱き付いている私の頭を、ヴァロンは大きな暖かい手で撫でてくれる。
あまりの心地良さに、どんどん増していく”甘えたい”という気持ち。


……キス、したいなぁ。

女の方からはしたない。
と思いながらも、私はそっとヴァロンを見上げた。

すると、私を見つめる彼と瞳が重なる。

ドキドキと胸が高鳴った時……。


「ーーシュウ。
お前、邪魔だからもう帰れ」

しっしっ、と。
ヴァロンが犬でも追い払うように、振った手をシュウさんに向ける。

……。

忘れてた。
シュウさんの存在ーー!!
< 395 / 475 >

この作品をシェア

pagetop