夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「っ……ありがとう!ヴァロン」
大好きの気持ちが溢れて、私は思わずヴァロンに抱き付いた。
不器用で、口が悪くて、価値観も違いすぎて……。
まだまだ知らないヴァロンに戸惑う事も多いけど、優しいところは、ちっとも変わらない。
目を閉じて抱き付いている私の頭を、ヴァロンは大きな暖かい手で撫でてくれる。
あまりの心地良さに、どんどん増していく”甘えたい”という気持ち。
……キス、したいなぁ。
女の方からはしたない。
と思いながらも、私はそっとヴァロンを見上げた。
すると、私を見つめる彼と瞳が重なる。
ドキドキと胸が高鳴った時……。
「ーーシュウ。
お前、邪魔だからもう帰れ」
しっしっ、と。
ヴァロンが犬でも追い払うように、振った手をシュウさんに向ける。
……。
忘れてた。
シュウさんの存在ーー!!