夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
(3)
***
20分後ーー。
ガチャッと脱衣所が開く音がして、ソファーに座っていた私は思わずビクッと反応すると、お風呂から上がってきたヴァロンに目を向けた。
「ッ~~……」
彼の周りが何だかキラキラして見える。
信じられない位、雰囲気のある色気に目を奪われる。
いつものビシッとした姿が格好良いのは勿論だけど、「あんなにラフな寝間着姿なのにどうして?!」って、叫びたくなる位のヴァロンの存在感。
彼は濡れた髪を拭きながらキッチンの方へ歩いて行って、冷蔵庫から水の入ったボトルを取り出すとコップに注がずそのまま口を付けて、飲む。
その唇も、水を飲む度に動く喉元も。その下の、ちょっと開いた寝間着の襟元から覗く鎖骨と逞しい胸板も……。息を飲む程、美しい。
逸らせなくて、行動を目で追っていると……。飲み終わって手の甲で口元を拭ったヴァロンと、目が合った。
私を見つめる、濡れた前髪の隙間から覗く彼の射るような瞳。