夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
序章 プロローグ
【17歳の2月】
”初恋は叶わない”って、やっぱり本当なのかな?
……。
曇り一つない青空が、私達を見降ろしていた。
まさに快晴と呼ぶに相応しい日。
浜辺を大好きな彼と二人で散歩。
まだ春が少し先の海風は冷たいけど、彼が羽織らせてくれた茶色のジャケットが、薄手の白いワンピース姿の私を暖かく包んでくれる。
勘のいい彼の事、気付いていたのかな?
私がそれをやってほしくて、ワザと上着を部屋に忘れてきた事を……。
お仕事の時の服装とは違って、今日は私服姿の彼。
ワインレッドのセーターと黒い細身のズボンに身を包んで、私があげた深い緑色をしたマフラーと手袋を着用した恰好が、とっても良く似合ってる。
ザザァ……ッと、静かに波の音が響く砂浜。
向かい合って見つめ合う私達は、側から見たら恋人に見えるのだろうか。
「……ねぇ。
私がここから連れ去って、って言ったら……。
貴方はどうする?」
そう、私は彼に問い掛けた。
色素の薄い白金色の髪と瞳を陽の光に照らされて輝くその姿が、美しすぎて……。
目の前にいるのに遠くに感じる。
それはまるで、互いの存在の距離を表しているかのように、私の瞳には映った。
彼は、私の召使い。
そして、私がこの世で1番愛おしく想う相手。
……。
私は今日という日を……。
ううん、貴方との全てを忘れないだろう。
貴方への想いを胸に抱きながら、来月の3月3日ー18歳の誕生日ー。
私は祖父に決められた婚約者の元へ、行く。
それはここに来た時から決まっていた。
彼と出会ったのも、ちょうどその頃だった。
私がこの別荘に花嫁修業の為に来た、17歳の春。
”初恋は叶わない”って、やっぱり本当なのかな?
……。
曇り一つない青空が、私達を見降ろしていた。
まさに快晴と呼ぶに相応しい日。
浜辺を大好きな彼と二人で散歩。
まだ春が少し先の海風は冷たいけど、彼が羽織らせてくれた茶色のジャケットが、薄手の白いワンピース姿の私を暖かく包んでくれる。
勘のいい彼の事、気付いていたのかな?
私がそれをやってほしくて、ワザと上着を部屋に忘れてきた事を……。
お仕事の時の服装とは違って、今日は私服姿の彼。
ワインレッドのセーターと黒い細身のズボンに身を包んで、私があげた深い緑色をしたマフラーと手袋を着用した恰好が、とっても良く似合ってる。
ザザァ……ッと、静かに波の音が響く砂浜。
向かい合って見つめ合う私達は、側から見たら恋人に見えるのだろうか。
「……ねぇ。
私がここから連れ去って、って言ったら……。
貴方はどうする?」
そう、私は彼に問い掛けた。
色素の薄い白金色の髪と瞳を陽の光に照らされて輝くその姿が、美しすぎて……。
目の前にいるのに遠くに感じる。
それはまるで、互いの存在の距離を表しているかのように、私の瞳には映った。
彼は、私の召使い。
そして、私がこの世で1番愛おしく想う相手。
……。
私は今日という日を……。
ううん、貴方との全てを忘れないだろう。
貴方への想いを胸に抱きながら、来月の3月3日ー18歳の誕生日ー。
私は祖父に決められた婚約者の元へ、行く。
それはここに来た時から決まっていた。
彼と出会ったのも、ちょうどその頃だった。
私がこの別荘に花嫁修業の為に来た、17歳の春。