夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「昨日みたいに。
私が飽きるまで、名前を呼んで?」
……約束の日まで。
たくさん名前を呼んでほしいの」
貴方に名前を呼ばれる。
何故だか分からないけど、私はそれだけですごく幸せな気持ちになれた。
それだけで、毎日を頑張れる気がした。
嫌な事も、忘れられる気がした。
私の中に生まれた初めての感情。
この気持ちが、想いが恋だなんて……。
私はこの時まだ気付かなかった。
「……オッケー!
あ、敬語もなしでいいかな?
やっぱり堅苦しいのは疲れるわ~」
私のお願いに、バロンはニッと笑うとさっきまでの礼儀正しい姿から一変。
ん~っと伸びをしながら上着の一番上のボタンを外して、着崩し始める。
一気にコロッと変わった彼の態度に、私は思わず笑ってしまった。
新たなバロンを見る度に湧き上がる暖かい気持ち。