夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……昨日の夕方から飯食ってなかった。
ヤバい、死ぬ……」
「えっ?えぇっ……!?
丸一日、何も食べずに過ごしてたのっ?!」
ヴァロンの両肩を掴んで様子を伺うが、フラフラの彼はソファーの背もたれにグッタリ。
驚いて、涙が止まる。
「も、もう~っ!急いで何か作るから!
それまでさっき焼いた焼き菓子を……。
ーーって!全部ないじゃないッ!?」
焼き菓子が乗っていたテーブルの上のお皿は、いつの間にか空っぽ。
『足りない』……。
こういう事ね、と納得。
もうっ、相変わらず。
色気より食い気なんだから~~っ!!
そう、少しムッとしながらも……。
やっぱりヴァロンが愛おしくて、私は思わず「ふふっ」と微笑ってしまった。