夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「……いや、違うな」
極度の緊張で動けない私に、背後から近付いてくる足音。
ピタッと少し後ろで止まって、私に呼び掛ける。
「2人で幸せになるんだ。
……そうだろ?アカリ」
その優しい言葉が、心に響く。
「アカリ」って彼に呼ばれたら、急に顔が見たくなって、堪らないーー。
「っ……ヴァロンッ」
震え上がる胸を抑えて、私は振り返ってヴァロンを見た。
そこに居たのは……。
マスターさんやシュウさん。集まってくれたみんなが息を飲むほど、最高に美しく、優しい笑顔のヴァロン。
長身で細身の身体に、白いタキシードが良く似合っていて……。
物語に出て来る、王子様みたい。
ーーううん。
私にとったらどんな物語の王子様より、勝る……。
比べる事なんて出来ない存在。
「ッ~~~」
直視出来ない私が真っ赤な顔で俯くと、ヴァロンは首を傾げて不思議そうにする。