夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
出会ってまだ数分の……。しかもガキに自分が心を許すような発言。
普段の自分では絶対にあり得ない言動に動揺している俺の心などつゆ知らず。ガキはゆっくり立ち上がると、俺に歩み寄ってきて、その手から三毛猫を受け取った。
「みゃ~っ」
「わっ!くすぐったいよぉ~!」
三毛猫がガキの頬に顔を擦り寄せると、ガキが一瞬で笑顔になった。
まるで、この薄暗闇を照らす光のように輝く表情。
その笑顔を見たら……。
「ああ、コイツなら大丈夫だ」って、思った。
珍しいからじゃない。
純粋に三毛猫を可愛がってくれるって、感じた。
「……よかったな」
ガキと三毛猫が戯れる様子を見て、気付いたら……。俺はそう言って微笑ってた。
そしたら俺の笑顔を見て、ガキがまた微笑って……。
ーーなんでかな?
三毛猫と一緒に、俺も救われたような……。
そんな感じがしたんだ。