夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
そのガキが、一緒に夢の配達人をしていたギルバートの娘だと、俺はその後気付いた。
天然でいつも明るかったギル。
ガキはそんなギルと瓜二つだった。
少し抜けてるところ。
人懐こくて、馬鹿が付く位お人好しなところ。
(もっと知らない人を警戒しろ!)
よく、微笑うところ。
ギルは親バカだったから、そういやよく奥さんや娘の話を聞かされた。
なんでか俺を気に入っていたギルは、「ヴァロン君になら嫁にやってもいいな~」
とか、馬鹿言ってたな。
「ガキはお断りだ」って嫌そうな顔しても、しつこくて……。大変だった。
そんなギルは、二年前にある任務中に還らぬ人となった。
こんな夜中にガキ一人。
母親が一人で育ててるんだろうな。
でも、ガキの笑顔を見てたら……。
俺の母親とは違うって、ハッキリ分かる。