夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「お母様を亡くされて、身寄りのなくなった孫娘をアルバート様が引き取られたのだそうです。
ギルさんの娘、名前はアカリ様と言います」
無意識に視線を向けていた俺に、シュウは一枚の写真を見せてきた。
そこに写っていたのは、確かにあの日会ったガキの面影を残した少女。
『ばろ、ん……。
また……きて、くれる?』
その声がパッと俺の中に響いて、静かに心に沁みて……。消えた。
「……。
あっそ、俺には関係ねぇ。
仕事とプライベートは別だ」
俺は目を逸らすと、再び依頼の資料を漁る。
「……。分かりました。
では、この依頼は別の者に回しますね」
そう言って少し残念そうに引き下がるシュウの背をチラッと見て、俺は依頼の山から資料を一つ抜いた。
「これ、行ってくるわ。
……明後日までに片付ける」
仕事内容を数秒見て確認すると、俺は隠れ家を後にした。