夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
……けど、学業は全くだ。
ここに来てから家庭教師にみてもらっても、なかなか上がらない学力。
その度に溜め息を吐かれ、長々とお説教に近い説明をされる毎日。
すっかり自信を失くしてしまった。
きっとバロンも呆れてるよね?
そう思ってしゅんと俯く私の頭を、大きな手が優しくポンポンと触れた。
「大丈夫!学校に行ってないのに出来ないのは当たり前だろ?これから頑張ればいいんだ。
僕はその為にいるんだし、ね?」
頭に感じる暖かい温もりと、思ってもみなかった言葉に「え?」と顔を上げる。
見上げる先に見えるのは、バロンの笑顔。
一緒に頑張ろう!って、彼の表情から伝わってくる。
それだけで、沈んでいた心が一気に高まるのを感じた。
「うんっ、頑張る!」
「よし、じゃあまずは……」
気合を入れてペンを握る私に、バロンは一つ一つの問題をとても分かりやすく丁寧に教えてくれた。
どんな簡単な問題や些細な質問にも答えてくれて、決して馬鹿にはしなかった。