夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
それから、俺はずっと考えてた。
自分がおかしい理由を……。
悩んでも悩んでも、自分の気持ちが分からない俺に……。アカリが言った。
「バロンは格好良いよっ!」
そう叫んだ、アカリに抱き付かれた瞬間。
全て、分かった。
女を知らなかった訳じゃない。
むしろ、今まで女に不自由した事なんてなかった。
……でも。
俺は今まで本気で相手した事なんてない。
だって、みんな俺が夢の配達人ヴァロンだから……。白金バッジの夢の配達人だから、寄ってくるだけだった。
「っ……私にとって貴方はッ……。
ヴァロンより格好良いもんっ!!」
ずっと、”夢の配達人のヴァロン”としてじゃなく……。俺自身を、見てほしかった。