夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
アルバートが来る前夜ーー。
俺はみんなが寝静まってからシュウに連絡を取った。
「当初の契約期間より早いじゃねぇか!」とか。「事前に連絡しろ!」とか……。
色々文句はあったが、俺が今やるべき事は他にあった。
「シュウ、頼みがある。
アカリの婚約者と、俺がそっちに帰還後すぐに会えるように手配してくれ」
『!……はいっ?』
通信機の先から聞こえるシュウの驚いた声。
俺は構わず続ける。
「あと、そいつの情報。
どんな些細な事でもいいからデータ送ってくれ。
交渉の時に役立ちそうなものは全部だ」
『ちょ、ちょっと待って下さい。ヴァロン。
アカリさんの婚約者と、取り引きするんですか?』
「……。ああ。
婚約を破棄しても支障が出ないように、交渉する」
『……』
俺の言葉にシュウは黙った。