夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

俺にとって、アカリを連れ去る事は簡単だった。

……だが、問題はその後だ。

アカリがいなくなり、婚姻が一方的に破棄となれば……。間違いなくアルバートや、この別荘の人間に何らかの影響が起こるだろう。
そんな事はハッキリ言って、俺には関係なかった。

でも……。
アカリは、そんな幸せ望んでない。


「……アカリが必死で守ろうとしてるもの。
俺が壊して悲しませたら、意味ねぇだろ?」

アカリが大事にしたいもの。
俺も守ってやりたい。

アカリが不安に思ってる物は、全て取り除いてやりたい。


そうしなければ、アカリはきっと心から笑えない。
幸せになれない。


「……頼む、シュウ。
俺に、力を貸してくれ」

『……。
夢の配達人、次期マスターとしては……。
了解致しかねますね、ヴァロン』

シュウの冷静な声が響く。
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