夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「!……えっ?!」
まさか……!
耳を疑った私がバッと背後を振り向くと、そこに居るのは……。
「ーーヴァロンにはなれませんが、バロンにはなって差し上げますよ?」
首を少し傾けて、ペロッと舌をだして微笑むバロン。
彼の鳴き、まね?
驚いた。
そっくり過ぎて、本当に猫バロンが還ってきたみたいに思った。
「……もう!からかわないでよ!」
バロンの無邪気な姿を見て、寂しくなっていた気持ちが晴れた私は微笑った。
彼の存在が、また新たな光をくれる。
……そうだね。
ヴァロンも猫バロンも、今はいない。
でも、今の私には貴方がいる。
バロンがいるから、私は笑顔になれるんだ。
バロン、ありがとう。
そんな感謝の気持ちを心の中で呟いていると、両手を後ろに組んだ彼が、ニッコリと微笑みながらこちらに近付いてきた。
えっ……?
その様子にドキンッと胸を弾ませる私。