夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
第3章 夏がきて……。
(1)
【17歳の夏】
「っ……違いますッ!!」
別荘の大広間に響く怒鳴り声。
私は思わずビクッとしてダンスを止めた。
その迫力と言ったら、まるでこの場に雷が落ちたかのようで……。外でうるさいくらいに鳴く蝉でさえも、歌うのを止めてすぐに飛び立ってしまう程だろう。
「何度言ったらお分かりになるんですか?
お嬢様、姿勢がすぐに崩れておりますよ!」
近付いてきて私の姿勢を直しながらお説教をするのは、先程の怒鳴り声の主。
使用人長のローザ。
「……ご、ごめんなさい」
「お言葉よりも結果がほしいですね。
はい、もう一度……!」
ローザに促されて、私はビクビクしながらもダンス練習を再開する。
必死に気を付けてはいるが、その間もずっと彼女は眼鏡の奥から目を光らせていて……。
細い私の動きまで、まるで心の中まで見られているみたいだった。
怖い……。
ここに来てからローザには怒られてばかりだ。
彼女の優しい表情なんて見た事がない。
「っ……違いますッ!!」
別荘の大広間に響く怒鳴り声。
私は思わずビクッとしてダンスを止めた。
その迫力と言ったら、まるでこの場に雷が落ちたかのようで……。外でうるさいくらいに鳴く蝉でさえも、歌うのを止めてすぐに飛び立ってしまう程だろう。
「何度言ったらお分かりになるんですか?
お嬢様、姿勢がすぐに崩れておりますよ!」
近付いてきて私の姿勢を直しながらお説教をするのは、先程の怒鳴り声の主。
使用人長のローザ。
「……ご、ごめんなさい」
「お言葉よりも結果がほしいですね。
はい、もう一度……!」
ローザに促されて、私はビクビクしながらもダンス練習を再開する。
必死に気を付けてはいるが、その間もずっと彼女は眼鏡の奥から目を光らせていて……。
細い私の動きまで、まるで心の中まで見られているみたいだった。
怖い……。
ここに来てからローザには怒られてばかりだ。
彼女の優しい表情なんて見た事がない。