夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
自分が全てにおいて至らない事は充分に承知しているつもりだが、やはり人間怒られてばかりでは落ち込む一方。
そんな緊張感に包まれた空間で、何とか必死にダンス練習を熟していると……。
「失礼致します」
!……この声は!
聞きなれた優しい声が背後から聞こえた。
私が動きを止めて振り返と、そこに居たのはバロン。
バロン!
バロン!!
張り詰めていた空気が、彼の登場によって和む。
私は胸を弾ませながら彼に視線を送った。
けど……。
「ローザ殿、使用人達が……」
ローザに何やら伝言を伝えにきた様子のバロンは、私の視線には気付いてくれない。
チラッとも、見てくれない。
……。
つまんない……。
少しムッとして頬を膨らます。
何やら大事な話なのか、私には聞こえないくらいの声で話しているし……。
ローザの耳元にバロンが囁くようにして話している。