夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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「えっ?アルバート様のご兄弟がこちらに?」
翌日。
部屋にやって来たローザに、自分の祖父の弟にあたる人物が訪ねてくる事を伝えられた。
「はい。アルバート様の後継者であるお嬢様にご挨拶申し上げたい、との事です」
「は、はぁ……」
相変わらず冷静な面持ちのローザ。
淡々と言われて、私は不安になってくる。
いくら自分にとって親戚でも初めて会う人物。
きっと堅苦しい席になるに違いない。
そう思ったら気持ちというのは正直なもので、どうやら表情に出てしまっていたらしい。
すると、それを察したようにローザが言った。
「良いですか?お嬢様。
決して余計な事は口走らない事。
そして、失礼な態度はとらない事。
……全ては、私共にお任せ下さいませ」
「……。はい」
有無を言わせない彼女の威圧感。
ローザに言われて思わず頷いてしまったが、よく考えるとそれは”私には何もするな”という事だろう。
彼女にとって自分はまだまだ”お嬢様”として恥ずかしい存在なんだ、と……。
私は少し寂しくなった。