夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
……うん!
きっとどんなに頑張っても、これ以上はないはず!
私はもう一度鏡を見て頷くと、用意してもらった椅子に腰掛けながらアルク様の到着を待つ事にした。
しかし、何とか心を落ち着けようと腰を降ろした直後。
「お嬢様、アルク様がご到着されました。
広間までお越し下さい」
「!っ……は、はいっ! 」
き、きたぁ~っ!!
まさに束の間の休息。
コンコンッ!と響くノック音と扉の向こうから聞こえてきたローザの報告に、私は再び落ち着きをなくすのだった。
「い、行きましょう!
お待たせしては、いけないわっ……。
きゃ……ッ!」
「!……危ない!」
ガシッと、バランスを崩した私をバロンが咄嗟に支えてくれる。
勢い良く立ち上がった結果、その衝撃で倒れそうになった椅子に足を引っ掛け、転びそうになったからだ。
「!……あ、ごめん。バロン……っ」
緊張を必死に抑えて、私は笑顔をバロンに向けた。