夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
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「ん~っ!
今日も、疲れたなぁ……」
夕飯とお風呂をすませ自室で部屋着に着替えた私は椅子に座ると、伸びをしながら1日を振り返った。
バロンがモニカ様の召使いになってから三日が過ぎた。
結局、今日も彼と交わせたのは挨拶だけ。
モニカ様を前にして、私には愛想笑いを返すのが精一杯だった。
思い出せば思い出す程、私の中に広がる何だか寂しくて物足りない気持ち。
これ以上考えていたら涙が出そう。
軽く溜め息を吐きながら濡れた髪をタオルで拭いていると……。
その時、窓の方からコンコンッ!とガラスを叩く音がした。
「!っ……。なに?」
驚いた私が恐る恐る窓に近付き、カーテンを開ける。
すると、そこに居たのはーー。
「!……バ、バロンっ?!」
窓の外のバルコニーに、人差し指を口元に当てて「し~っ」と言う仕草をしたバロンの姿。
私は慌てて窓を開けると、彼を部屋の中へ入れた。