夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

「……ごめん。
こうでもしなきゃ、会えなかったからさ」

取り乱す私をなだめるようにバロンは微笑むと、指でそっと涙を拭ってくれた。
その笑顔と温もりが、すごく久々に感じる。


「ローザ殿に聞いたんだ。
アカリがすごく落ち込んでるって……。
元気なくて、気持ち悪いくらい素直だって」

「!……ローザが?」

私の様子なんか、全然気にした素振り見せなかったローザ。
でも、バロンの言葉からちゃんと私の変化を見ててくれたのだと気付き、胸がジーンと熱くなる。


最近色々と我慢していたせい?
様々な感情が入り混じり、涙腺がすっかり緩くなってしまっているのかも知れない。

また涙が溢れてしまいそうで俯くと、バロンが私の首に掛かっていたタオルを取り、丁寧に拭き始めた。


「……ほら、アカリ。
髪の毛ちゃんと乾いてない。
やっぱり、僕がいなきゃ駄目だね」

もう、その行動は反則だよ。

バロンの優しい手。
優しい瞳と声。

心地良くて、もうダメだ。
また、涙が溢れてくる。
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