Kissしちゃう?
 だから、別に会社に入社する際の入社試験のハウツーや裏を聞かずとも大丈夫だった。


 それに僕は文学部にいるからか、就業に関してはかなり困難だった。


 どこの社も文学部出身者を取りたがらない。


 大学時代に文学ばかりを勉強してきた学生よりも、法律や経済、商業などを勉強してきた人間を企業は優先的に取りたがる。


 僕も普通に上手くいくことはないだろうと思っていた。


 そう言えば、早紀ともこんな話は一度もしたことがなかった。


 僕は歩きながら、彼女に聞いてみた。


「君さ、もし学校卒業したら、どこの会社に入りたい?」


「うーん、難しいわね。でもあたし、図書館司書の資格取ろうって思ってるの。将来はどこかの図書館の司書のお姉さんになりたい」


「図書館司書ね……」


 僕は重たい息を吐き出した。


 そういう僕も、一応高校の日本史の教員免許を取ることを考えていた。
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