Kissしちゃう?
 葬儀終了後、今井家の親族と、僕を始めとする親しかった友人数人で、火葬場へと向かった。


 これから早紀の体が焼かれるんだ――、そう思うと僕は言いようもないぐらい切なくなり、また涙が溢れ返ってしまう。


 そして火葬場での告別式の後、遺体が竈(かまど)へと入れられた。


 僕はその場面を未だに脳裏に鮮明に記憶している。


 火葬が無事終わり、僕は彰や千佳子と一緒に骨を拾って、骨壷へと収めた。


 納骨が終わった直後、彰が僕に向かって不意に、


「芹沢君、これは娘の遺骨だ。これを君が来年の夏にこの近くにある海で散骨してくれないか?娘は大好きだった君から送り出してもらえることで、本当に天国へ旅立てると思うから」


 と言い、白い遺骨の入ったビンを手渡した。


「分かりました」


 僕が頷き、ビンを受け取る。


 中にはまるで雪のように真っ白く、しかもパウダー状になった骨が入っていた。
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