Kissしちゃう?
 サラサラとした感覚が手に乗せることで感じ取れた。


 そして僕は骨をゆっくりと撒き出す。


 ちょうど熱い南風が吹き始めている頃だった。


 僕の手からは風に乗ったその骨がゆっくりと散っていく。


 そう、まるで何かを手から溢(こぼ)してしまうかのように……。


 骨が風に吹かれて、辺り一帯に舞い散る。


 そこで僕はまるで地上では感じ取れないような不可思議な感覚を味わう。


 不意に目の前に上下とも白い服を着た早紀が現れて、生前と同じく笑っていた。


 しかもお腹には大事そうに手を当てている。


「真二」


「ん?」


「実はね、あたし妊娠してたの。大好きだったあなたの赤ちゃんを」


「え?」
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