Kissしちゃう?
 そこに現れたのは一台の大型トラックだった。


 しかもドライバーが酒気帯びだったようで、僕の乗っていた軽自動車に猛スピードで突っ込んできた。


 バーン。


 僕はそのまま車ごと跳ね飛ばされる。


 ぶつけられ、遠のく意識の中で僕は考えていた。


“早紀、これで君と一緒にいられるね。ずっとずっと”


 僕はそれから先の記憶を一切持っていない。


 ただ、一つだけ確実なことが言える。


 それは僕が遅ればせながら天国の住人となり、あの世へ行ってしまったということだ。


 そう、誰よりも愛おしい早紀の下へ。


 僕たちの恋愛は永遠だった。


 まるで生前二人してお忍びで買って、互いの指に嵌め込んでいたペアリングに施された∞のマークが象徴するかのように……。
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