Kissしちゃう?
第三章
    3
 僕が早紀の仕事を脇の方からじっと見つめながら、「フゥー」と思わず深呼吸した。


 早紀は全く手元を見ずに淡々とキーを打ち続けている。


 パソコンなんて使い慣れれば、誰でもブラインドタッチになってしまうだろうし、僕も自宅アパートには大学入学を機に親から買ってもらったノート型のパソコンが一台置いてあって、プリンターにも接続してあり、レポートなどを書く際はいつもパソコンばかりだった。


 下手すると、印字せずに添付ファイルで送ってしまうこともある。


 だからプリンターは出番があまりなくて埃被(かぶ)りかけていた。


 それぐらいだから、大学の試験などで、紙と鉛筆だけを使って解答となる文章を作れと言われると、大いに戸惑ってしまう。


 たった二年前の冬まで揃って互いに高校生だったのに、だ。


 僕も早紀もケータイは高校時代から持っていたし、大学に入ってからは文学部という学部らしく、文献などを見つけるときはほとんどネットからだった。


 それぐらい、ネットは便利なのだ。


 おまけにユーザー同士が使うコミュニティーサイトなどもある。
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